その背中が右に曲がって見えなくなったのと同時に、全身の力が抜ける。
「ちぃっ!!」
ダダダっとミドリが近づいてくるのが分かる。
春だというのにまだ冷たい廊下の床にへたっている私に抱きつくミドリは。
カタカタと震えていた。
「な、んで……っ。どうして、ココにいるのっ」
「……分からない。でも、ココの制服だったのよ。しかも、新1年の――赤い校章だった」
「……っ?!えっ、じゃあっ!!」
「入学してきた。この春、この学校に」
唇を噛み締めながら震えに耐える。
ミドリも脱力しながら「ウソでしょ」と震える唇で呟き、私の手を握った。
「千紗っ!ミドリちゃんっ!」
軽快な足音と共に雄太郎とタクが走ってくる。
ミドリに視線を向ければ、「電話したの」と力なく微笑んだ。
「おいっ。大丈夫か?」
普段冷静なタクさえも慌ててる。
そんな二人に視線を戻し、「大丈夫よ」と伝えた。

