振りほどこうとしても、あまりにも強い力で握られていて、振りほどけない。
ガチガチと奥歯が擦れ合う音が頭に、脳に響く。
分かってるわよ、私だってっ。
脳内がパニックを起こし、グワングワンと警報が鳴り響いてることくらい。
「嬉しくて、声も出ない?そうだよね。4年ぶりの再会だもんね」
ぐいっと、無理やり。
私の意志とは反対方向に、身体が動く。
………嬉しくなんてないっ!
なんでっ。なんでコイツに抱きしめられなくちゃいけないのよっ。
抵抗しようと、押し返そうと思ってるのに、なかなか手に力が入らない。
むしろ、どんどん力が抜けていってしまう。
「さ、佐野泰明っ!!!」
意識を飛ばしそうになった私に聞こえてきた声は、ミドリのもので。
後ろから相当驚いている感じが伝わってくる。

