雄太郎は、千紗に言われた通り、ファイルが置いてある席に座る。
パラパラとファイルを一通り見た後、再び始めに戻しじっくりと見始めた。
「たっちゃん、千紗とまた何かあったでしょ」
「何もないよ、たぶん」
「たぶん、ねぇ。千紗、いつもより言い方が優しかったから、さ」
「千紗にさ。姉がいることは知ってるか?」
「うん。少しね」
「紗葉っていって、俺と幼なじみなんだけど。
さっき、千紗が突然『どうせ私は姉さんに似てないわ』って言ったんだ」
ホント、意味が分からない。
姉妹だからって、似てる似てないを気にしなくてもいいよね?
それに、あの時の『表情』が気になる。
「…ふーん。本人に聞かなきゃ分かんないね、それは」
「そうだけど、さ」
「千紗、以外と傷つきやすいんだから」
「分かってるよ」
雄太郎が俺に、さっぱりとした爽やかな笑顔を向け、再びファイルに視線を落としてから数十分後。
千紗、ミドリさん、卓也くんがたくさんのプリントを持って戻ってきた。

