「…さ……千紗(ちさ)っ!」


 聞き覚えのある声に振り返れば生徒会長が私の肩を掴んで立っていた。


「なんですか?生徒会長が私に何か用ですか?」


 “生徒会長”という言葉を少し強めに言ってみた。


 特に生徒会長に目をつけられるような派手な行動はしていない。

 声を掛けられること自体が不思議だったため不審に思っていると、ニコッと音が出そうなほどの笑顔で、


「実はさ、千紗に頼みたいこ」
「嫌です。では、部活がありますので」


 嫌な予感がしたため内容を聞く前に断り部活に向かおうと体の向きを会長から180度左に向ければ、

「ちょっ!ちょっと待って!」

 グイッと腕を引っ張られ180度右に体が向き、再び会長と向き合う形になってしまった。


「はぁー、何ですか?」

 会長は私が話を聞いてくれると分かったためか、それとも「引っ掛かった、バーカ」など思っていたのか不自然な笑みを零す。









「坂桑千紗(さかくわちさ)を新生徒会会長として任命します」