「…タツキ…?」

 気づけば私は、アイボリーのソファーを背にして上にはタツキと挟まれていた。

 タツキは私の頬に大きくな手を添え、そのまま私の唇に優しい刺激を与える。

「千紗。……俺に何か言うことない?」

 優しく問うタツキはどことなく悲しげで、早くその悲しみを取り除いてあげたい。

「ごめんなさい…私――」

「それは、どういう“ごめんなさい”なの?」

「タツキ、違うわ。
タツキが、思っているようなことじゃない。
私は、雄太郎と帰っていたのを謝っているの」

「そのユウタロウって子と一緒に帰りたいから迎え断ったんじゃないんだね?」

「当たり前よ。
私が歩いて帰るって言ったら送っていくって言われただけ。
それで、私は雄太郎の言葉に甘えただけよ」