ユキと他愛のない話をしながら
長い階段を下りて行くと、
まだドタバタ騒ぎは収まって
いないようだった。


「あれ…?ユキは見つけた
ってさっき会ったメイドに
知らせたのにな…?」


不思議に思ってユキの顔を見ると、
ユキの顔は驚いたように固まっていた。


「ユキ?」


ユキに話しかけると
ひとつため息をついて
呆れた顔をした。


「なんで里菜がここに
いるんだよ…?」


里菜?里菜って…まさか…


「あぁ〜ユキ兄さん何処に
行ってたのよぉ〜?」


…やっぱり里菜だよね。

里菜はユキの妹だ。
でも、血は繋がっていない
みたいで、里菜の耳は猫の耳が
ついている。

それをよく思わない城の人間は
里菜を外へ出したがらない。
だから里菜はここに来れる
はずはない。


「また抜け出したのか?
全く世話が焼ける妹だな。」