『お前は親のいいなりかよ。俺も一応、知ってる。血、つながってないんだろ?そもそも、お前の親はお前をただの金稼ぎ道具としてしか使ってない』



「もうだまってくれ…」



里斗の抑える力が少しだけ弱くなった。



「お前に俺の何が分かるってんだよ。確かに血はつながってない…」



何強がってんの?ホントは図星なんでしょ?



里斗の体はかすかに震えていた。



『…わかったから』



「?」



『里斗に譲る。それでいいんだろ?』



創也の声が優しく温かいものになった。



「…!?」



『父さんを殺されちゃ困るし、沙羅も奪われても逆に俺が復讐すると思うからね』



冗談っぽく、本気っぽく…そう創也は言った。



「創也…」



『沙羅は助けられるとして…。父さん、どうにかしないとね。譲るって言っても…ね』



おそらく今、創也は苦笑いをしただろう。



やっぱり創也はすごいね…。