沙羅にぶたれながらも一つも表情のない里斗は言った。



「…お前みたいな女は初めてだ。あぁそうだ!俺は秋山家自体憎んでる!!なんでお前をこんな目にあわせたか?」



ぐっと里斗は沙羅の顔を覗き込んだ。



「創也の一番大切なものを奪うため。そう、あんただ。あの社長は俺に継がせると言っておきながらいきなり首を突っ込んできた息子に簡単にあの秋山製菓を渡した!!納得できると思うか?お菓子ってもんを何も知らねぇド素人が!…俺が継ぐはずだったんだ。俺が一番優秀な人材だった…」



話を聞いて呆れる…。ほとんど我儘じゃない。



「創也に電話しろ」



「…な、なんでよ」



「“約束”だ」



「ほらよ」



里斗は沙羅の携帯を持っていた。



「な、なんであんたが持ってんの!?」



沙羅は取り返そうと手をのばしたが、スラリとよけられた。



「電話、して」



「返してもらわなきゃ、できない」



はぁーと里斗はため息をついた。



「わかってないな。勝手に電話するよ?」



里斗は携帯を開いた。