「…俺が秋山製菓を継ぐ予定だったんだよ」



「なんで…里斗が?」



沙羅はベットの上に起きあがった状態、里斗はベットに座っている状態だった。



「トップの中で社長の次くらいの力を俺は持ってた。そのときの社長は秋山和弘[アキヤマカズヒロ]。創也の父親だ。その時、社長は重い病を抱えていた…。今もまだ治ってはいない。そんな時俺は秋山製菓を頼む、と言った。一番俺が次の社長に近かったからだ。同僚たちも大賛成…」



里斗は優越感で表情を明るくする。



「だが…」



目が鋭く光る。



「あの社長に息子がいるとは初知りだ…。しかも、息子は俺が継ぐはずだった秋山製菓を横から奪い取りやがった!…なぜだ?」



「俺は使用人共に調べさせた。…一ついい情報を手に入れられた」



里斗の手が沙羅の顎を掴んだ。



「…お前の“元”執事だった。秋山家の長男でありながらお嬢様に仕える執事…?情けない」



「…情けない?」



ずっと黙って話を聞いていた沙羅が口を開いた。



バチン!!



「ふざけるな!!さっきから話を聞けば偉そうに…。えぇ、そう!創也は私の執事だった!で、それがどうしたって?なんで私がこんな目に会うわけ?あんたは創也が憎いんでしょ!?男なら自分でハッキリと白黒つけなさいよ!!」



沙羅の怒りは頂点を達していた。



「…」



「そもそもなんなのよ」