「おぃ、田辺!」 「−っ!は、はぃ!?」 部活中に考え込んでいたらしい。 あたしの足下にはボールが転がっていて、目の前には高橋がいた。 「お前、どうした?いつもは猿みたいに走り回ってんのに…気分でも悪い?」 そう言ってあたしの顔をのぞき込む高橋は紛れもなくあたしの知ってる高橋なのに。 「田辺?大丈夫か?」 あたしを真っ直ぐ見つめる心配そうな目は紛れもなくあたしだけを見てるのに。 .