透明図

公園の側のマックで、藤橋君はアイスコーヒーとアイスのカフェオレを一つずつ注文した。

私はお財布から二百円を取り出すと、そっと藤橋君に手渡した。

断るのかと思ったりもしたけど、藤橋君は一つだけうなずいてそれを自然に財布に納めた。

そんな仕草に少し、大人らしさを感じてしまう。

藤橋君と二人、何を話せばいいのだろうかな。

なんでもないよ、なんて済ませられないよね、困ったなぁ。

家族連れやら学生とかカップルとか、私たちが手狭で落ち着きのないような席に腰を下ろすと、いろんな視線が集まってくる。

たぶんそれは私の暗い目のせいよね。

そして藤橋君も悲しい顔をしてるから。

そりゃそうね。

そんな雰囲気の高校生の男女だなんて、普段なら私だって目が離せないわ。

でも、そんなんじゃないからね。

心の中で言い訳をして、気にしないように振る舞おうと思うけれど、なんだか恥ずかしいのは変わらない。

そんなことを考えていると、また泣けてきた。

店内のFMがとぎれ狭く雑然とした店内には、しばらく静寂が訪れた。

その空間を満たしたのは、唯一私の泣いてる音だけだったろうか。

藤橋君は目のやり場のないような、そんな顔をしていた。

ごめんね、ごめんねと、心の中で何度も叫んだ言葉は、私の込み上げてくるものを何度も何度も荒波のように強く打ち付けるばかりだった。