透明図

ねぇ、藤橋ユウヤ。

私は口の中で静かに言葉を重ねる。

私は藤橋ユウヤに尋ねる言葉を探していた。

ねぇ、藤橋ユウヤ。

私はもう一度言葉を重ねる。

少しだけ、踏ん切りがついた気がした。

「前にさ。」

声がちょっとだけ上ずりながら、私はなんとか言葉をしぼりだす。

どうも、思っていたようにうまくは伝えられないみたいだ。

「言ってたよね、鳩が死ぬのは俺のせい、みたいなこと。」

ようやく、言葉が口をついた。

うん、と藤橋ユウヤがうなずく。

「ねぇ。私、知りたいんだ。」

その言葉の意味、私に語った理由、あなたは何を思って?

「ずっと、おんなじなんだ。」

藤橋ユウヤの口から、かすかに言葉がもれる。

ずっとおんなじ?

何が?

私は、いつの間に下を向いていたのだろうか。

うつむいていた頭を振り上げ、藤橋ユウヤをみやった。

でも、私は思わず顔を背けてしまう。

私の目に映る彼の顔は、悲しいくらいに暗い瞳をともして、切なく遠くをみやっているようだった。

私は、どうしたの?と心配の言葉をかけるより何よりも、とてもそんな表情に堪えられそうにない、そう思ってしまった。

そして直感した。

君は、悲しいんだね。

そして、つらいんだ?

ねぇ、私でよければ、話してくれないかな。