snow×white

あたしの手を引き階段を上りながら、ヤスはときどき振り返りあたしのおぼつかない足元を気遣った。


部屋の前に着くと今まで無言だったヤスがようやく口を開いた。


「到着…です。」


「あ、ハイ…。」


変によそよそしい空気がなんだか恥ずかしい。



「お邪魔します…。」


部屋に入るとすぐ覚えのある匂いを感じた。

きっとヤスの使っている香水だろう。

キスされたときに感じたあの匂い。

少し甘ったるい、あたしの心をかき乱す匂い…。





ヤスは壁際に置いてある2人掛け程度の小さなソファに座り、あたしの方を見た。

「どーぞ。」

と自分の横を指差している。


「あ、うん。」

あたしは隣に腰かけると部屋の中を見渡した。


彼女の持ち物らしきはモノは何一つ見当たらない。


抜かりないな。。。