snow×white

あたしたちは2丁目でタクシーを降りた。


ヤスのアパートの目の前。

これがどういう意味かはあたしにも分かっていた。


ヤスが黙ってあたしの手を引く。



もう1人の自分の声が聞こえた。


―――本当にいいの?




いや、本当はずっと感じていた。


ヤスにキスされたとき。

あたしを送ると言ってくれたとき。

手を握られたとき。


でも気づかないふりをした。

考えたくなかったから。



ヤスには好きな人がいるんだよ?

あたしじゃない人を好きなんだよ?


今ならまだ引き返せるよ?