snow×white

「マサさんは…」

そう話を切り出そうとしたとき、ヤスが言った。


「『さん』なんかつけんでええよ。

『マサ』って読んだらいいし。

俺のことも『ヤス』でええよ?

なー、マサ?」


「うん、全然ええよ♪」


マサもニコニコして答えた。

他のメンバーも「うんうん」と頷いている。



「えっ…でもあたし年下だし、初対面だし…」


「全然ええって。

つーかライブんときは

『ヤスー!!』って呼んでたやん♪」


そう言いながらヤスがあたしの頬を指でつついた。


……え、ちょっと待って。。。


うそでしょーーー!?

聞こえてたのーーー!?

今日1恥ずかしいんですけどーーー!!



「うそだよね!?

聞こえるはずないよね!?

あんなに人いっぱいいたのに!?」


あたしはうそであってほしいと願いながら、すがるような目でヤスを見た。


「いや、あのくらいの広さのハコやったらお客さんもわりとよく見えるし、曲間やったらけっこう声も聞こえんねん。」



うそ…じゃないのね。。。


あたしの声がヤスに届いていたことは正直少しうれしかった。

でもそれ以上に恥ずかしいんですけど。。。


あたしはグラスに残っていたビールを一気に飲み干した。