snow×white

体の力が抜けて行くのを感じた。


この人が好きだ。

この人に触れたい。

この人を抱きしめたい。




彼らの人気の理由がわかった気がした。


彼らの曲を聴いて、彼らの詩を感じて、みんな彼らに恋をするんだ。



あたしもその中の1人。

いくらメンバーと仲良くなろうが、個性的な格好でライブに来ようが、多くのファンの中の1人にすぎない。


でもどうせならヤス以外の人を好きになりたかったよ。

あなたじゃなければ誰でもよかったのに…。



「今夜が運命の夜になるかもよ?」

ヤスの言葉を思い出す。


――そうか、ヤスは予知能力者だったのか…。

ぼんやりとそんなことを考えた。





あたしは軽い吐き気と激しい喉の渇きを感じ、美嘉さんにそっと耳打ちをして会場を出た。

少し風に当たりたい。