snow×white

癖のあるハイトーンボイスでヤスが歌い始める。


ハードロック。



どのくらい時間が経っただろうか。

あたしは心臓まで響く爆音と観客たちの声援に浸りながらステージの上に立つヤスの姿を見つめていた。



あの少しエロい上目づかい…。


高慢な言葉で観客をあおる。




なんて色気のある人だろう。


楽屋で

「かっこよくなったやろ~?」

と子供のような笑顔を見せたあの人とは、まるで別人だった。



気がつくとあたしは声がかれるほどヤスの名前を呼んでいた。