はっきりさせよう。
美咲のことが好きなのか、違うのか。
はっきりするまで、連絡はしない。
けじめをつけないまま、ずるずると連絡をしても、お互いに虚しいだけだ。







「佐倉くんのことが好きなの。彼女、引っ越したんでしょう?だったらあたしと……」

その日の放課後、いきなり告白をされた。
話したこともないような女子。

「…悪いけど、好きじゃないから」

別れることを期待しているのだろうか。
わかりやすく溜め息をついてみせると、女子はごめんなさいと頭を下げて去って行った。


「いやぁ、モテるな」

「…夜中まで遊べねーけどな」

「だからそれ誤解、早苗の勘違い」

「どーでもいい。なんか用事?」

声をかけてきたのは大橋。
なんとなく会いたくない気分だった。
仲は悪くない、というか、僕たちは不思議と気が合って、一緒にいることも多い。
でも今日はいろいろあったから、少しだけ気まずかった。

「…昼間の続きだけどさ」

「…あぁ」

「いいよなぁ、遠恋」

「…いきなりどうしたんだよ」

僕が問いかけると大橋は笑いながら、なんでもねーよ、と答える。
彼女である早苗ちゃんに見せるような、太陽みたいに輝く笑顔だった。

「距離に負けんなよ、佐倉」

それだけ言うと、大橋は背を向ける。
その背中に、僕も呟いてやった。

「ちゃんと仲直りしろよ」

大橋は振り向かずに、片手をあげていた。
なんだかかっこつけてるようで、笑えた。