「……寂しい?」

美咲がぽつりと呟いた。
当たり前だろ、僕はそう返事をしたいけど、実際本当に寂しいのかはわからない。
好きだから、離れたら寂しい。
わかっているのだ、それは、ちゃんと。

わかって、いるのだ、けど。


「…まぁな」

気持ちを偽ってしまう。
僕は寂しいわけじゃない。
寂しいけど、それよりもっと、別のなにかがあるような気がした。
僕が美咲を好きになったのは、いつもそばで笑っていてくれたからで、いなくなってしまったらこの気持ちがどうなるかわからない。

「…あたしも、寂しい」

「会いに行くから」

「お金かかっちゃうよ?」

「バイトする」

美咲が好きだ、その気持ちに嘘はない。
寂しい思いにさせたくないから抱きしめなかったのも、その気持ちからの行動だ。
だったらどうしてだろう。
どうして自信がないのだろう。