これはある日のこと…。 こんな恋、自分自身も想い描いたこともなかった。 俺は親父と二人暮らしをしている。十七年間、何回も母さんの事を親父に聞いた。でも、いつも返って来る答えは同じ…。 「母さんはお前を捨てたんだ。もうこれ以上聞くな!」 やっぱ、母さんに逢いたいなんて変な夢、見ない方がいいのか? 次の朝 起きると、親父はもう仕事に行っていた。台所に置き手紙と一緒にぶきっちょな親父が一生懸命作ったデッカいおにぎりを置いてあった。置き手紙には、こう書かれていた。 拓都へ 朝飯は、ちゃんと食べていけ!それと、明日はもう少し早く起きろ。 時計を見ると、八時をまわっていた。 「やっべ〜遅刻する!」 とっさに制服を着て、おにぎりを頬張り、家を出た。なんとかバス停に間に合った。隣を見ると、栗色の綺麗なロングヘアーの女の子が立っていた。とっても上品そうだった。女の子に見とれていると、女の子が振り向いた。 「あなたも私と同じ学校の生徒なの?私、今日来たばかりで学校の事良くわからないの。」