わたしたちは今、近くのファミレスに来ている。
しかも、7人。

理由は当然、つれてこられたのだ。

名前もまだ知らない、クラスメイトに。

わたしと、弟と、涼子と、クラスメイト4人。

周りから見たら、変な集団だろう。

7人がけのテーブルはないからと、ふたつ席をとってもらったが、人数はあきらかにかたよっていた。

こちらのテーブルには、わたしと涼子しかいない。

後ろのテーブルでは、優喜を囲む会が開かれていた。
彼女たちの眼は、あきらかにハート型に変形している。

「モテモテだねえ、優喜君」

涼子はのんびりした声でいった。

涼子わたしの家にも遊びにきた事がある。

わたしの家の家族構成も知っているし、弟とも知りあいだ。

だから、校門に立っていたのが優喜だと一目でわかって教えてくれた。

「そんなにかっこいいかねー」

わたしは、ドリンクバーのストローを噛みながらつぶやいた。

別に怒っているわけでもない。
ましてや、弟を隠そうとは思わない。

でも、姉弟の待ち合わせに乱入してまで、話したい相手かね、優喜は。
わたしは早く帰りたいのだ。

「それは、ひなが見慣れてるせいよ」

涼子が、わたしの意見にすばやく反論した。

「見慣れてる? たしかに、優喜は人並みより顔はいいけどさ、そこまでかぁ?」

わたしも、負けじと反論した。

「ほら、そこそこ。そういうところが見慣れてるっていうのよ。優喜君ってかっこいいじゃない。ちょっといかないと街らしい街にでないこの田舎で、ひときわ垢抜けてる感じ。かわいいーっていうか、かっこいいーていうか。どっかの事務所に入ってそうっていうかさ」

「そう?」

正直、よくわからない。

最近は、憎たらしいことばかりいうし。

「まったく、それだからひなは、だれとも付き合えないんだよ。横で毎日こんなかっこいい弟を見てたら、どんな人が来てもくすむでしょうよ」