ハァ…ハァ…

「クソッ、あの野郎、風に乗るなんて卑怯だぞ!こっちは自力で追っているんだ、ちょっとはこっちに合わせろや…。」

ジークは全速力で草原を走りながら、ゼェゼェと荒い息を吐き悪態をついた。
いくら普段から身体を鍛えている彼でも風に追いつくなど到底不可能。
せめて馬があれば…と、ジークはもつれる足を止め忌々しそうに天を仰いだ。