「…。」

険しい表情のまま、ランス団長は暫し立派な髭を扱きながら考えを巡らせていた。


そうだろな…。

ここまで話を聞いて貰えたのは、彼の器の大きさが幸いしたのだろう。
剣の腕を磨くなら、そこいらの傭兵集団にでも入れば良いだけの話だ。
騎士団にこだわる事など何も無いのだ。


ここまでか…。

俺はこの場を去る決意を固め、彼に退出の意思を告げようと口を開いた。
それと同時に、ランスが再び引き結んでいた口を開いた。