「ふむ…。それでは私の部屋で話をしよう。ついてこい。」

俺の頑なな態度から訳ありと感じ取ったのか、彼はそう言うと、営舎の自室に来るように自ら扉を開き、中へ入るように促した。


「団長!そのような身元の判らぬ者を中に入れては…。」

思わずクラインが意見する。

「理由も聞かずに追い返すのも、いささか酷だろう。私が決めたことだ。意見は認めぬ。」

言葉尻に威厳を込めて、ランスはキッパリと言い放ち扉を閉めた。
後に残されたクラインは、苦々しげな表情を浮かべたが、クルリと背を向けその場を立ち去った。