「ふふふ、ジークらしい理屈だね。あっ…。」

アルは、俺の軽口に表情を崩し爪先立つと馬の背に鞍を乗せようとしたが、足場が悪くヨロリとよろけた。


「おっと危ない。アル、お前はもう少し身長と体力が欲しいところだな。」

とっさに伸びたたくましい腕が彼の脇を支え、冑の下からは耳に心地よい穏やかな声が響いた。

「けっ、お前みたいにデカすぎるのもどうかと思うがな。騎士団一の長身が、いつ敵さんの標的になるかと俺は冷や冷やしてるんだぜ。」