「ジーク!ブレイド!こっちこっち!」

人なつこいボーイソプラノが耳に飛び込んできた。

「よお、アル!お前、実家に戻っていたんじゃないのか?」

俺はアルフォンス・ファーガソン、通称アルの横に並び、愛馬“三日月”に鞍を乗せながら尋ねた。
魔法弓手のアルは、騎士団で最年少…18歳という年齢ながらも優秀な魔術師だ。
魔術師のスタイルはソーサラーとリチュアリストの二つに別けられる。
自らの力で自在に魔法を操るソーサラーに対し、リチュアリストは魔法に多くの時間とエネルギーを使う。
アルは後者のリチュアリストに属し、予知と召喚術に長けている。


「うん。母さんの体調も思ったより回復していたし、それにあの大きな爆発を見たら…戻らないわけにはいかないよ。」

「ふーん。だが休暇中だろう?休暇なんて取れるうちに取っておかねぇと損するぜ。」