チャールズ=皇太子セザリオンは侍従のオーガスタが差し出した銀の容器に嘔吐した。 嘔吐した…とはいっても彼なりの気遣いはしたつもりだった。 向かいの父親が不快な思いをせぬように、出来るだけ音を立てぬよう目尻に涙を滲ませながら静かに事を済ました。 王はそんな我が子を一瞥したが、すぐに視線を車窓の外に向けた。 そんな父の冷たい態度を見て、セザリオンは孤独を感じずにはいられなかった。 (ファレル…ごめんね。僕は君との約束を破ってしまった。) きっと怒っているだろうな…。 彼は心の中で呟いた。