「あははははっ、ジーク、私は常にお前と共にある。これから先もずっと…。私の復讐は始まったばかりだ。私はいつもお前を見ている。だが、お前に私は捜せまい…。」

「くそっ!卑怯者!」

「何とでも言うがいいさ。復讐を止めたければ…私を捜し続けることだ。一時も私を“忘れるな”」



ゴォォォォッ

激しい風の渦が草原の緑を巻き上げ、ジークは怺えられずに目を瞑った。
巻き上げられた小枝や砂利が彼の身体を打ち、頬に幾つかの擦り傷を作った。


“あはははははっ…。”

最後に不気味な笑い声を残し、ファレルを乗せたつむじ風は大空に吸い込まれるように消えた。

「っ痛…。」

ジークは、身体に降りかかった埃を払い落としながら立ち上がった。
ファレルの言葉は堅い痼りとなり彼の胸に深く根を張り巡らせた。
彼は、溜息をつくと樫の樹皮の刻印を掌でそっと撫でた。


「ファレル…俺は…。」

ジークは遠くへ去った友の名を呟いた。
再び彼と相見える日…その日を思い彼の胸はズキズキと鈍く痛んだ。