「やめろォォ!」

ジークの手が、その青白い腕を乱暴に掴み彼を引き倒した。
目標を逸れた白色の光弾は、樫の下枝を粉々に砕き、生い茂る青葉を吹き飛ばし枝の間を突き抜け空中で弾け飛んだ。

「いい加減にしろ!俺への憎しみをよそへ向けるな。憎しみは全て俺に向けろ…それでお前の気が済むなら俺は構わない。」

「ふっ、本当か…?」

ファレルは蹌踉めきながら立ち上がるとジークを嫌な目つきで睨め付け、問い返した。


「ああ。」

「そうか。じゃあ…決めた。私はお前を憎む。憎んで憎んで…お前が恐怖に慄き私の前に額づく日まで…命を差し出すその瞬間まで…憎み続ける事にしよう…。」



ゴォォォォォッ

突然巻き起こったつむじ風に、ジークは跳ね飛ばされ樫の根元に転がった。
呆然と、宙を見上げる彼の目に風の中で狂気をたぎらせた表情で笑うファレルの姿が映った。