ただでさえ、稽古で忙しくて、デートなんて出来ない私達。
それなのに、せっかくのチャンスを逃した私。
あんな宇宙人なんか放っておけばいいのに!自分の駄目さに、思わず、額をドアに何度も打ち当てる。
「うう~私のバカ!バカ!バカ!バカ!」
ゴン!ゴン!ゴン!…
ガチャ。
「痛ッ!」
「あんたって、本当にアホ丸出しっすね」
急に保健室のドアが開いて、昨日の宇宙人のチビが、呆れたように顔を出す。
私はチビを横目に、促されるまま中に入る。
!!
すると、忘れもしない顔ぶれの3人が、平然とくつろいでいた。
しかも、一人は白衣を着ている。
「あなた、保健室の先生なの!?」
私の思わず出てしまった言葉に、腰まで長くサラリとした髪を一つに束ねた男が、此方に振り返る。
「はい、今日から、赴任しました。宜しくお願いしますね」
そう言うと、眼鏡をクイっと整え、優しく微笑んだ。



