水上の音楽

 この季節、ポットにコーヒーをつくるのは、パパの習慣だ。

それはいつも今のテーブルの上にあって、書斎のパパには、それを注ぎに来るのが息抜きだった。

ママは出かける前と寝る前には、中の量をちゃんと確かめる。だから私が、今はそうして続けてる。


「はい、コーヒー。凍え死ぬわ」

「ありがとう」


冷えた手には熱すぎるくらいのカップを、颯太は嬉しそうに受け取った。