水上の音楽



真白な花みたいだと。


 私はなにかとても大きなものを、とても近くに抱えているみたいな気持ちがしていた。
私の近くにも遠くにも花は舞い、それになにかを見失いそうだった。

時間・空間・宇宙。


 颯太の声だけじゃない。私の耳に聞こえるのは。


「僕は庭に出た。音楽は遠くなるどころか、世界中がうたっているみたいに大きく聴こえてた。クリスタルのような空気に、銀の星が降ってきそうだ。その丘からも海が広がっていて、やがて――」