水上の音楽

 どうしてそこに視線が引かれたのか、そんなことはわからない。

まるで真っ暗な中で、ただふたりにだけライトが当たっているみたいだった。
周りのすべてが遠ざかり、またすべては戻ってきた。

だけど、変化があったのだ。その瞬間に。


「僕はふたりのためだけに、音楽が流れる気がした。時間も空間も宇宙も、ふたりのためだけにあることがわかった。その時、すべてが在るべきところに収まったんだ。それが事実だった」


 ふたりは踊り出す。ふたりのための音楽で。

「ジェイのリードは優しくて、舞は羽みたいに軽そうだった。白いドレスに、舞が花みたいだった。ジェイのための花だと、そう思った」