【短】Eqeal

チケットを手に入れるだけでも難しいコンサート。

けど俺は最前列を手に入れていた。


幕が上がって、そうそうたる顔ぶれが現れる。


「はは…変わってねぇし…」


小さく呟いた俺の視線の先には、夢を叶えた美羽の姿。


聞き惚れるし、見取れる俺。

美羽楽しそうだな。


うれしいけど、少し寂しい。




そしていよいよ最後の曲。


ずっと指揮者を見続けていた美羽の瞳が、ふいにこっちを見た気がした。


気のせいか?


そう思った俺の耳に、不思議な音が入ってきた。


「ぶっ」


一人吹き出した俺。

やっぱ美羽気付いてたか。


今、音が一音ズレた。

絶対音感は悪いが健在だ。