−−−−数年後
俺はあるオーケストラのコンサートチケットを握りしめ、空港からタクシーに飛び乗った。
「お兄さんどこからきたの?」
「日本です」
気合いで習得した言葉が通じて、少し安心した。
「へぇー。オーケストラに興味があるのかい?」
珍しい日本人だとでも思われたんだろうか。
「約束をしてまして」
「約束?そういえばお兄さんの顔、どこかで見たことあるような…」
バックミラー越しに、運転手と目が合う。
「あ、ここで大丈夫です」
嫌な流れに、俺はチップを払い外に出た。
はぁー、今日はどんな音を聞かせてくれるんだ?



