【短】Eqeal

美羽とは同じ中学で、同じ吹奏楽部だった。


美羽はホルンのパートリーダーをしてて、全体の部長をしてたんだ。


しっかり者の美羽と、無口な俺は当時そんなに関わりなかったけど。




誰よりも努力家な美羽は、ホルンの中でも飛び抜けてうまかった。


みんなができないような難しいとこも、できてしまう美羽は、いつも一人だけ追い出されずに済んでたわけ。


キリッとした目を指揮者に向ける美羽は、普段の幼気な様子からは想像できなかった。




「それじゃ、タラ〜ラララララ〜のとこもう一回」


一通り演奏が終わった後、やっぱり先生も気になったようだった。

あのホルンが主旋律を奏でるとこ。




「ダメだ、ダメだ!!前にも言っただろ?ホルン!!一人ずつやってみろ」


お、きたか。


「何だその音は!!廊下で練習してこい!!」


ぷっ。


緊迫した雰囲気の中、昔と何も変わってない先生に笑いがこぼれた。


どんどんホルンの子が抜けていく…。