【短】Eqeal

「よーし、それじゃチューニング終わった奴から座れ〜」


そう先生が声をかけた。


俺は後ろの壁にもたれかかる。


「とりあえず最後まで」


カンカンカンとテンポよく譜面でリズムを取る先生。




バッ




手を振り上げたと同時に様々な音が、メロディーを奏で始めた。







……チャイコフスキーの白鳥の湖か。


俺らのときにもやった。

まじで懐かしい。




はは、そうそう……ホルンが主役のとこ、音が高くてバラバラになってたな〜。


急に高くなるから練習を始めたばっかのときはほとんど誰もできなくて、先生を怒らせてた。


演奏中は鬼のように真剣になる先生は『廊下で練習してこい!!』って追い出してた気がする。




……でもいつも一人だけ追い出されずに済んでた。


それが美羽。