「まあ、まあ喜べ、相棒」

「いつ誰がお前の相棒になったよ…」

「今からだ」


今からかよ…。

朝からコイツのテンションには昔っから乗れない俺。


「で、なに?」

「今日うちのクラスに転校生だってよ!しかも相手が女子ときたもんだ」

「まじで?」

「まじまじ。しかも美人かブスの2択だぜ」


悔しいほどに、転校生の女子と言うだけで

俺ら男子のテンションは上がっていた。


俺は彼女にフラれたばっかなのに。

しかし、これはこれだ。


美人か、ブスか。


「俊、お前どっちに賭ける?」

「ブス」

「いくら賭けるよ」

「500円賭ける。お前は美人の方だろ?」


学校で一番つまらない世界史の授業を全く聞かずに

俺たちはまだ見ぬ転校生についてあれこれ議論していた。


「際どいな。ブスも大いに有りうる」


いつになくまじめな表情の俺がおもしろかったのか、

俊がブッと噴き出した。


その音に、机2個分離れている

俺の元カノがこっちを向いた。


チラッとみて、目があっただけで

何を思ってるのかすぐわかる。



「俊、お前、前向け」

「え?おい、なんだよ」