きつくユキを抱きしめていると、ユキも俺の背中に手を回した。
そして、言ったんだ。
「私も…。ずっとずっと、隼人が好きだった」
俺がずっと欲しかった言葉を。
「俺、必要ねーじゃん!良かったな、ユキちゃん!」
そう言って、神山はそそくさと去って行った。
ユキは俺にチョコを渡すため、神山に協力を依頼していたらしい。
どうやら、完全に俺の勘違いだったようだ。
俺はユキから体を離し、「家で渡せば良かったのに」と言った。
ユキは「学校で渡したかったの」と言って、もう一度、俺の胸板に顔を埋めた。
こんなに学校中がバレンタインモードなのに、我慢なんかできないよな。
と、俺は後から思った。

