【短】チョコレート・キス



その声に惹かれるように瞼が開き、今度は瞳が声の主をとらえる。


そこにはユキと、男がひとり。

ユキの手には、ピンクの包装紙で可愛くラッピングされた箱が握られていた。


明らかに分かる。

彼女が手に握っているそれは、俺が欲しくて欲しくてたまらなかったもの。

ユキの本命チョコだ。


そして、その男には見覚えがあった。

その男が誰だか分かった瞬間、俺は目を疑った。



嘘だろ?

あいつがユキの好きな人?