カタカタカタカタ・・・


教室のあちこちから聞こえる機械音。
「悠斗ーッ!!出来ないよー!」
まるでだだをこねる子供のように、叫んで床に座り込む――――幸坂桃歌、13歳。中学一年生。
得意なことは特になく、苦手なことは山ほどある、自分に自信の持てない女の子。
「・・お前は・・それでも女かぁ!?」
呆れるように桃歌に叫び返す、一年生なのに何故か茶髪の――――五十嵐悠斗、13歳。中学一年生。
得意はことは山ほどあり、苦手なことは特にない、皆の人気者。
「・・・女でごめんね!?」
面倒くさそうに歩いてくる悠斗に、ふてくされたように桃歌が言った。
「ったく、ホントだよなー♪」
悠斗が意地悪そうに微笑んで、丁度手の届く位置にある桃歌の頭を軽く叩く。
「・・バカッ」
一瞬ビックリして叫びそうになった桃歌が、震えた声で言った。