大丈夫、って言おうと思って。
お兄ちゃんの顔を見て、息を呑む。

それは、深く深く傷ついた表情だったから。
だって。
銀組次期総長って言ったら、何があっても傷なんてつけられないような場所に居る人だよ?

多分。
まぁ、わたしは組のことは良く知らないから勝手な想像なんだけど。

その人が、今。
わたしの目の前で、まるで心臓の奥に矢を射された様な、それこそ、今にも泣き出しそうな色の瞳をしていたので、驚いた。

「おに……」

喋る前に抱き寄せられた。

「すみません、都さん」

繰り返される、謝罪の言葉。

「ちがっ。
だって、お兄ちゃんが書いたわけじゃないもんっ。
なんで、お兄ちゃんが謝るの?
謝らなきゃならないのは、あの傘を書いた誰かだよ……っ」

お願い、謝らないで。

心からそう願う。

悪いのは、お兄ちゃんじゃなくて。

悪いのは――