ぱふっと。
お母様の後姿を見送った後も立ち尽くしていたわたしの頭に、大きな手が乗る。
「お帰りなさい、都さん」
心配してたよとか、無事に帰れて良かったねとか、お疲れ様、とか。
そんな気持ちを凝縮したような優しい言葉。
見上げる前に、ふわりと、身体が宙に浮いた。
「清水、都さんのランドセル持ってきてくれる?
後、消毒液とガーゼと包帯、準備して」
「承知しました」
そんな事務的なやりとりが、耳に入る。
「ねぇ、お兄ちゃん。
わたし、歩けるよ?」
足を折ったわけじゃ、ないもん。
赤ちゃんでも、ないもん。
わたしはきちんと、自分の足で歩ける一人の大人なんだもんっ。
「そうですねぇ。
歩けるどころか、走り回れるのも知ってますよ」
穏やかな声は、耳に優しい。
……ぎくり。
驚いて、言葉が止まる。
「何、それ。
先生に聞いたの?」
「先生?
都さんの先生って、弥生先生って言うんでしたっけ?」
「そうなんだけど。
弥生先生は産休に入ったから、この1月から東野先生が来てるの。
でね、先生が歩道橋の上からわたしたちを見つけたの」
お母様の後姿を見送った後も立ち尽くしていたわたしの頭に、大きな手が乗る。
「お帰りなさい、都さん」
心配してたよとか、無事に帰れて良かったねとか、お疲れ様、とか。
そんな気持ちを凝縮したような優しい言葉。
見上げる前に、ふわりと、身体が宙に浮いた。
「清水、都さんのランドセル持ってきてくれる?
後、消毒液とガーゼと包帯、準備して」
「承知しました」
そんな事務的なやりとりが、耳に入る。
「ねぇ、お兄ちゃん。
わたし、歩けるよ?」
足を折ったわけじゃ、ないもん。
赤ちゃんでも、ないもん。
わたしはきちんと、自分の足で歩ける一人の大人なんだもんっ。
「そうですねぇ。
歩けるどころか、走り回れるのも知ってますよ」
穏やかな声は、耳に優しい。
……ぎくり。
驚いて、言葉が止まる。
「何、それ。
先生に聞いたの?」
「先生?
都さんの先生って、弥生先生って言うんでしたっけ?」
「そうなんだけど。
弥生先生は産休に入ったから、この1月から東野先生が来てるの。
でね、先生が歩道橋の上からわたしたちを見つけたの」


