「あなた、うちの陸を連れまわすなんてどういうつもり?
学級委員だか何だか知らないけどっ」
と。
ヒステリックな声が、わたしの鼓膜を突き破る勢いで降り注がれる。
母親って、こんな風にヒステリックに怒鳴る生物なんだ、と。
母を知らないわたしは宇宙人でも見るような気分で、その女性を見つめるほかなかった。
「あら、どうして都が連れ出したと決め付けるんですか?」
その、ヒステリックな空気を、凛とした声が抑え付けた。
わたしはびくりとして、その声がしたほうに目をやる。
そこには、着物姿の<お母様>が居た。
もちろん、本当のわたしの母なんかではない。
正確には、次期総長であるお兄ちゃんこと、銀大雅の母親であり、現銀組総長の妻でもある人だ。
正直、組の外でその姿を見ることなんてほとんどないのだけれど。
まるで、華道の先生でもあるかのような華やかさと姿勢の良さ。
そして、一際目立つ存在感を放っていた。
「どうしてって。
あなただって聞いてたじゃないですか、子供たちの話を」
一瞬きょとんとした女性だが、なんとかテンションを戻してヒステリックに喚き返す。
「ええ。
同じ話を聞いていたとしたら、都を追って陸くんが教室を飛び出したんじゃなかったかしら、ねぇ、先生?」
「は、はい。そのとおりです」
若い東野先生は、お母様の迫力に押されているようでもあった。
「それ以外の証言、私は耳にしませんでしたけどねぇ」
お母様は、淡々と事実の説明だけをした。そこに、感情はまるで見えない。
うっと、陸の母親が言葉を詰まらせる。
学級委員だか何だか知らないけどっ」
と。
ヒステリックな声が、わたしの鼓膜を突き破る勢いで降り注がれる。
母親って、こんな風にヒステリックに怒鳴る生物なんだ、と。
母を知らないわたしは宇宙人でも見るような気分で、その女性を見つめるほかなかった。
「あら、どうして都が連れ出したと決め付けるんですか?」
その、ヒステリックな空気を、凛とした声が抑え付けた。
わたしはびくりとして、その声がしたほうに目をやる。
そこには、着物姿の<お母様>が居た。
もちろん、本当のわたしの母なんかではない。
正確には、次期総長であるお兄ちゃんこと、銀大雅の母親であり、現銀組総長の妻でもある人だ。
正直、組の外でその姿を見ることなんてほとんどないのだけれど。
まるで、華道の先生でもあるかのような華やかさと姿勢の良さ。
そして、一際目立つ存在感を放っていた。
「どうしてって。
あなただって聞いてたじゃないですか、子供たちの話を」
一瞬きょとんとした女性だが、なんとかテンションを戻してヒステリックに喚き返す。
「ええ。
同じ話を聞いていたとしたら、都を追って陸くんが教室を飛び出したんじゃなかったかしら、ねぇ、先生?」
「は、はい。そのとおりです」
若い東野先生は、お母様の迫力に押されているようでもあった。
「それ以外の証言、私は耳にしませんでしたけどねぇ」
お母様は、淡々と事実の説明だけをした。そこに、感情はまるで見えない。
うっと、陸の母親が言葉を詰まらせる。


