空、正確には歩道橋からスーツ姿の東野先生がわたしたちに手を振っていた。
見つかった、逃げなきゃ。
頭の中でそう思うけれど、もう、一歩だって動けなくて。
わたしたちはそのまま、東野先生の車に乗せられ、学校へと連れて帰られたのだった。
「陸、何やってんのっ」
車を降りた瞬間。
ヒステリックな声が空気を引き裂いた。
そして。
谷田が口を開く前に、ぱしり、と。
頬を打つ音が、薄暗い学校前に響いた。
「まぁまぁ、お母さん。
とりあえず話を聞いてから」
先生が止めるのも聞かず、谷田の母親と思われしスーツ姿の化粧の濃い女性が谷田の手を掴む。
その目は怖いほど吊り上っていた。
「話?
いまさら子供に何を話す権利があるっていうんですか。
学校に行くのは子供の義務ですよ。
それを放棄して、街で遊び歩いていたなんて」
そこで一息つくと、その女性の視線がわたしを突き刺した。
痛い。
人に睨まれるだけで、こんなに痛いなんて知らなかったって思うほど。
わたしの小さな心臓が竦む。
見つかった、逃げなきゃ。
頭の中でそう思うけれど、もう、一歩だって動けなくて。
わたしたちはそのまま、東野先生の車に乗せられ、学校へと連れて帰られたのだった。
「陸、何やってんのっ」
車を降りた瞬間。
ヒステリックな声が空気を引き裂いた。
そして。
谷田が口を開く前に、ぱしり、と。
頬を打つ音が、薄暗い学校前に響いた。
「まぁまぁ、お母さん。
とりあえず話を聞いてから」
先生が止めるのも聞かず、谷田の母親と思われしスーツ姿の化粧の濃い女性が谷田の手を掴む。
その目は怖いほど吊り上っていた。
「話?
いまさら子供に何を話す権利があるっていうんですか。
学校に行くのは子供の義務ですよ。
それを放棄して、街で遊び歩いていたなんて」
そこで一息つくと、その女性の視線がわたしを突き刺した。
痛い。
人に睨まれるだけで、こんなに痛いなんて知らなかったって思うほど。
わたしの小さな心臓が竦む。


