「あー。都ちゃん、遅いっ」
一つ後ろの席、音葉(おとは)ちゃんがハイテンションに声を出す。
「何が?」
教室に入ったときわたしの目に映ったのは、黒板消しを持っている青山くんの姿くらいで。
「今、相合傘が書いてあったんだよー!
青山くんと都ちゃんの」
楽しそうな声は、ピアノの鍵盤が弾かれるように響く。
「……ふぅん?」
だから、青山くん、ちょっと困った顔してるのか。
なんとなく納得。
「あれ?
何か感想は?」
黙っている私を、音葉ちゃんが覗き込んでくる。
「感想って言われても。
わたしが書いたわけじゃないし。
ねぇ?」
むぅっと、音葉ちゃんが唇を尖らせた。
ひょっとこみたい、なんて思う。
……わたし、むやみに唇を尖らせるのやめよう。
なんて、決意するにはもってこいの表情だった。
一つ後ろの席、音葉(おとは)ちゃんがハイテンションに声を出す。
「何が?」
教室に入ったときわたしの目に映ったのは、黒板消しを持っている青山くんの姿くらいで。
「今、相合傘が書いてあったんだよー!
青山くんと都ちゃんの」
楽しそうな声は、ピアノの鍵盤が弾かれるように響く。
「……ふぅん?」
だから、青山くん、ちょっと困った顔してるのか。
なんとなく納得。
「あれ?
何か感想は?」
黙っている私を、音葉ちゃんが覗き込んでくる。
「感想って言われても。
わたしが書いたわけじゃないし。
ねぇ?」
むぅっと、音葉ちゃんが唇を尖らせた。
ひょっとこみたい、なんて思う。
……わたし、むやみに唇を尖らせるのやめよう。
なんて、決意するにはもってこいの表情だった。


