「見てみましょうか?」

促されて、電子レンジを覗き込む。

「私が出します。
その調子だと、都さんに火傷でもさせたら殺されかねませんからね」

あまり冗談になっていない言葉を聞き流し、テーブルに置かれた容器を見る。
まだ、ぐつぐつと綺麗なルビー色の液体が蠢いているのが不思議だった。

「食べてみますか?」

わたしがあまりにも真剣にそれを見つめていたのが可笑しかったのかもしれない。
清水が口許を緩ませて、簡単に煮詰められてしまった苺を一つ掬ってくれた。


そこまでは、流れるような仕草で、確かに見蕩れてしまっていたわたしも悪かったなって思うわよ。

でもね、その苺にふぅふぅとオーバーなほど息を吹きかけて

「はい、どうぞ」

って、わたしの口許に持ってくるのは……。

は、反則じゃないですか?