だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)

「それで、何を作ろうと思ってたんですか?」

う。
だいたい、見て分からないかしら。

そこの、使い物にならない鍋とか見たら。

でも、眼鏡越しに見つめられているので、黙り続けるわけにもいかない。
わたしは、諦めて唇を開く。

「バレンタインデーにぴったりの、手作りチョコよ」

「なるほどね。
それで、大量の苺がそこにあるんですね」

清水はテーブルの上、皿に大量に持ってある苺に目を向けていう。

「うん。どっちかっていうと、さっきパパとお兄ちゃんが食べてたんだけどね、それは」

「分かりました。
じゃあ、作りましょうか?」

言いながら、清水は手際よく板チョコの袋を開けていく。

「都さん。これを、ボールの中に割って入れてもらえます?」

ぱき、ぱきっとチョコレートを折るたびに甘い香りが広がっていく。
清水はその間に冷蔵庫から生クリームを取り出した。

「暖めるのはね、チョコレートじゃなくて生クリームなんですよ」

そんなの入れるなんて、聞いて無いもんっ。
清水は拗ねているわたしを視線の端に捉え、柔らかい笑みを零した。

「拗ねている暇なんてないですよ。
これ、沸騰直前にはもう、そのチョコレートの中に入れるんですから」

言われたわたしは慌ててぎこちない手つきで、残りのチョコレートを全て割った。