だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)

コンコン

ドアをノックする。

「どうぞ」

部屋の中からパパの声がした。
どきりとして、お兄ちゃんのセーターの裾を掴む。
お兄ちゃんは私を見下ろすと、ふわりと微笑んで扉を開けてくれた。

部屋の中はブロックで散らかっていた。
二人の子供たちはブロック遊びに夢中だったのだろう。

でも、今は驚いて小川くんの後ろに隠れていた。
三人とも白い包帯を巻いているのが痛々しい。

パパが振り向いて、私の頭をわしゃわしゃと撫でる。

「どこか痛いところはない?」

首を横に振ると、ほっとした笑顔を見せた後、ぎゅうとその広い胸に抱き寄せられた。

それから、パパは振り向いて、少女に何事か告げる。

……パパって、日本語じゃない言葉も喋れるのね?
初めて知る事実に目が点になる。

少女は小川くんの背中に隠れてもじもじしていたが、意を決したかのようにわたしの元へと走ってきた。

驚いてそれを抱きとめる。

「ワタシ クリスティーナ ミヤコチャン スキ」

耳に飛び込んできたのは、片言の日本語。
そうして、私が目を丸くしている間にはにかむようにパパの後ろへと隠れる。