だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)

「お待ちしていました」

紫馬さんは、場にふさわしくない優美な笑顔を浮かべて俺たちを迎えてくれた。

「とりあえず、ぐるっと回って気になる奴らは片付けておきました」

――片付けて

何度聞いても嫌な響きだ。
特に紫馬さんが満面の笑みで言う場合、これは『殺した』とはまた別の意味を持ってくるのだ。

ぞっとするほど非道で違法で反倫理的で、金になる行為。


「嫌だなぁ、次期総長。
そんな怖い顔して。眉間に皺寄せると、老けて見えちゃいますよ?
いくら俺だって青龍会のメンバー全ての臓器を売っぱらおうなんて思ってないですって」

ふわり、と。
色っぽささえ漂わせる笑みを浮かべて紫馬さんが言う。

彼がここまでご機嫌だということは、よほど欲しかったモノが手に入ったのだろう。
血液型が合うとか、何かの型が合うとか。
そういう、俺にはわからない医学的な見地で。


そう。
彼の言葉を借りれば『生きていて迷惑な人間だって、死んだら人の役に立つんですよ――生きながらえたい人に臓器を提供することで。犬死させるより、よぉっぽどマシでしょう?』

と、いうことになる。

臓器の売買なんて許されてはいないのに。
闇でそれを高額に売りさばく。
売りさばくどころか、自ら移殖さえしているという噂だ。


俺には理解も了解もしかねる、悪魔の領域。
そこに飄々とした足取りで踏み込んでいるのが、銀組若頭 紫馬 宗太なのだ。